THE NOTEBOOCK『きみに読む物語』2004年ベストセラーのアメリカ映画です。
療養施設に一人暮し、過去の思い出も相手もわからない認知症になっている初老の女性とそこにいつも通い、本を読んで聞かせるやはり年老いた男性の青春時代と2人の物語。
1940年、渡り鳥と陽光のきらめく、美しい河の有る保養地ノースカロライナ州シーブルックでのノアとアリーの初恋物語。この物語はかつての2人の青春の思い出そのものであることを一瞬奇跡的に思い出し、やがて静かに亡くなっていく2人の愛情と絆を描きだしています。
その頃のアメリカは豊かで、主人公ノアが1772年に建てられた家を自分一人で改築した住居も広く美しい建物であり、医療施設も充実し、認知症の人もゆったりきれいな環境で療養生活が送られていた情景が描かれています。強い心の絆とともに,自然に囲まれた環境の美しさ、清潔な場所で静かに息をひきとる場面が多くの人に感動を与えました。
戦後の日本では,病院も住居も粗末なもので、しかも多くは空襲で消失してしまっていました。住まいは、1951年度に51Cといわれるコンクリートの住宅建築が始まりました。これは公営住宅標準設計の名称で,そのうちの最も小さいタイプのものがCタイプで,わずか12坪しか無かったのは、戦後、資材の無い時代住まいをともかく造る必要があり、小さいながら地方では木造ではないはじめての鉄筋コンクリートによる公営住宅でした。この住宅ではじめて食事の出来る台所、ダイニングキッッチンの発想が取り入れられた。
その5年後には日本住宅公団に受け継がれ何DKの個室とダイニングキッチンの定型住宅が出来上がり、高度経済成長の始まる時期で、都市に流入する若い世代、ニューファミリーの住処となりました。そして,子供達には個室があたえられ、戦前からの雑居生活は消えプライバシーが家庭内にも持ち込まれ,自立と孤独の訓練の場所と考えられていました。
その後,日本が1960年台から,経済が急速に拡大する1980年にかけて、ニューファミリーが子供を育てるための住まいとして大量に住居が供給された。多くの都心部に団地が出来、それが次第に郊外に広がり、ニュータウンが建設され,庭付きの住宅が全国で建てられた。その後家庭はしだい変容し,さまざまな形の家族ができ、現在では高齢者や子供の介護ケアの場所としての住居と変化しています。
一方,介護はさらに他の場所社会的介護施設へと移動しつつあります。最期の住処としてアメリカ映画のような舞台は夢かもしれません。
