チンパンジーと人類は700万年前に共通の祖先から枝別れして生まれる。チンパンジーはコモンチンパンジーとピグミーチンパンジー(ボノボ)の2種類が、その後生き残った。この二種類のチンパンジーの間では99.3%の遺伝子は共通で、わずか0.7%の違いのみである。チンパンジーと人間は98.4%共通の遺伝子を持ち、違いは1.6%である。人類の祖先は700万年前にチンパンジーの系統と別れ、体毛を失い、地上生活の2足歩行になった。この間様々な人類種が生まれた。、
未開社会の人類の戦争は、チンパンジーの攻撃に似ている。未開社会のレベルでは、集団虐殺は稀な出来事だった。チンパンジーは消耗戦を仕掛けて、勝利を目指したり、緩衝地帯を作ったり、奇襲作戦をしたりして縄張りを守る。人と違うところは家族を形成することなくオスとメスは、別個の階層社会を作る。この階層社会は生まれつきではなく、子分を作り、集団を作り上げて地位を獲得する。体格が大きく強い事は重要だが、最終的には他のチンパンジーと協力する能力が支配権獲得の決め手となる。
チンパンジーの社会は競争的で、政治的で、集団の間に順位が定まっていて、仲間と協力して同盟を作り、他者と競争する。他者との関係を利用して立場を強くし、食糧や繁殖をめぐって争う、といった人間社会によく見られる行動パターンが見られる。
一方、ピグミーチンパンジ(ボノボ)は相手との関係をうまく保ち、争いを避ける能力が長けている。人間の友人関係、仲間同士の助け合い、争いを話し合いで解決するといった面をもっている。人間ではこれは文化や環境に規定されるものの、人類の頭脳には、様々な形の社会的協力を促進する能力が生まれつき備わっていて、共同体を組織することが自然なことで、協力して共同体を守る社会を築き上げてきた。
チンパンジーは森の中で暮らしアフリカ大陸で現在まで生息している。人類は森の生活に別れを告げ二足歩行でサバンナで生活を始めた。様々な種類の人類が生まれ消滅していくうちに30万年前に、アフリカにホモサピエンスが誕生した。現在の人類とほぼ同様の骨格を持ち、その後アフリカを出て、ヨーロッパではその土地に古くから住んでいたネアンデルタール人と交雑し生き残った。現人類の遺伝子にはネアンデルタール人の遺伝子が数%含まれている。さらにユーラシア大陸の東のアジアではデ二ソワ人と交雑し、ホモサピエンス サピエンスとして生き残った。今でもパプア ニューギニア人は3%のデニソワ遺伝子を持ち多くのアジア人にも少量のデニソア遺伝子が含まれている。そのほかの多くの人類種は地球上でしばらく生存しその後消滅しした。
人間の自然状態についてホッブスはリヴァイアサンの中で書いている。もっとも奥深い感情は、死の恐怖で、この死の恐怖すなわち生命を失わないようにするために、各人が持つ自由が重要である。人間の本性の中で競争と恐れと誇りの3つが争いの原因を作る。第一に、人々は利権を求めて侵入を行わせ、第二には安全を求めて活動し、第三は評判を求めて行動させる。そのようにして自然状態では、万人に対する万人の戦によって特徴ずけられる。
ジョン ロックは自然状態のまま自由に規律を与えないと戦争状態になってしまうので、ホッブスが言うように自然的自由と財産を守るため社会契約が必要である。そこで国家が必要である。自然状態でも、人間には理性があり、他人の生命・自由・財産を侵害してはいけない、という自然法を理解できると考えた。ただし問題は、権利を侵害された時、それを公平に裁き、処罰する共通の機関がないことで、そのため人々は政府を作る。しかしその国家が自然権を否定して、権利を守らず侵害するなら、人々は、それに反抗する権利も必要となると考えた。
ルソーはさらに違った考えで、ルソーの自然状態にいる人間は、ホッブズが描いたような他人と争い続ける人間ではなく、比較的孤独に生き、自己愛と哀れみの情を持っていると考えた。ところが、人間が社会を形成し私有財産が発生すると、これは私のものだという意識が生まれる。そこから比較、競争、嫉妬、支配・従属関係などが発生し、人間の不平等が拡大していく、とルソーは考えた。社会によって人間は不平等になった。だから人民自身が自由な政治を作り直す必要があると結論づけた。
これは生物学的には人間の持つチンパンジー的要素とボノボ的要素が状況によって現れるためと推測される。そして人間は集団を作り、集団の間の対立の解消に外交による協力と互恵関係の平和な秩序が作られる、これが崩れると対立する集団に勝つための武力が用意される。集団の支配者の感情、状況の判断によってこれが実行されると戦争になる。
このチンパンジーから進化した人類の遺伝子の変化が知能や創造力、攻撃性、哀れみの心といった感情に及ぼす影響はまだ完全にはわかっていない。
1969年ジョンレノンはベトナム戦争に反対して愛と平和(Love And Peace)の曲 Imagine, Give peace a Chance, War is over,を発表し、ボノボになった。