- 戦後の日本は、国民皆保険制度を確立し、誰でも、どこでも、同じ治療が安い医療費で受けられる、お任せ型の医療を確立した。
- その後、医療の技術は進歩しはじめた。現在使われているCT検査は 1970年代に、またMRIは1980年代に発明された。その頃カテーテルによる心臓治療が始まり、内視鏡も進歩し薬も続々と開発された。 それとともに1980年代には、医療費20兆円越え、医療費亡国論が唱えられた。すでに、日本は少子高齢化に向かっていて、この医療費を放置すると、国の財政が破綻する、特に多くの種類の多くの薬が使われ、薬代が医療費の全体の30パーセントをしめていて、これを削減する必要があると言われた。
当時先進国では、専門に分化しすぎている臨床医を、専門医と家庭医に分けることが行われていた。1985年(昭和60年)日本でも家庭医に関する懇談会できた。しかし、2年後の1987年(昭和62年)反対に会い、家庭医構想は頓挫した。
1990年代半ばからデジタル技術の時代がはじまった 。デジタル技術が定型的な仕事、給料の計算や自動車などの溶接作業などを肩代わりし、それを使って人間は判断することに集中でき作業の効率は改善した。
医療の分野でもこの IT技術の活用が期待された。しかしこの時期のコンピューターシステムは取り入れても、作業の手間は変わらず、業務は効率化しないで、お金だけかかった。
2000年(平成12年)医療費は約30兆円になり、公的介護保険制度ができる。当時、病院改革すなわち病院の質の向上が、問題となり、また医療の研修が問題になり、高齢者医療費増大が問題になった。
2004年(平成16年)医局体制を大学病院の独占から、市中病院も加わった研修医制度ができた。それにより医局支配の体制は弱くなった。
そして2001年(平成13年)小泉内閣になると、財政再建のため医療費の支出に総枠を決めて削減した。この医療費の削減が医療崩壊をもたらしたとして批判され、その後医療費削減は困難になった。
以前から課題であった、医療情報の開示、医療機関の第三者評価を進めるとともに、ITなども活用しながら、科学的根拠に基づいた医療(エビデンス ベイスド メディシン)を確立していくことが目標となった。多くの医療機関同士で患者の病名や処置のなどの情報の共有を目指した、電子カルテを使った情報化がすすめられた。しかしコストのかかりすぎや、情報流出の懸念からなかなか進歩、普及が見られなかった。
この頃になると、日本の医療保険制度は世界的に優れていることに疑問符がつきだした。財政的には赤字の先送りによって支えられ、医療関係者の過重労働に支えられ、技術は最先端ではなく、IT化もそれほど進んではいないし、医療のシステムや情報の開示は遅れているのではないかのと。
2010年(平成22年)医療費は介護を含め約40兆円となる。
この数年で、医療にもIT技術が急速に取り入れられた。 世界最強の囲碁のチャンピオンを倒したアルファ碁の会社ディープ マインド社はイギリスの公共医療シシテム、国民医療サービス(NHS)と共同でこの技術を医療システムに適用し、新しいシステムを開発しつつある。
また韓国では医療情報化政策で、今では医療機関のあいだ、医療機関と患者の間の情報共有がITで実現していて、医療機関の質の評価が行われ、各病院の実績が公表されている。そしてアプリ「健康情報」でだれでも見ることができる。さらに、「マイチャート」で診察の時患者が情報共有に同意すれば、クラウド上に検査結果や薬の処方が記録されいつでも見て使うことができる。
医療技術では機械が視力を獲得し、情報集め、診断をするようになった。医療における画像診断、CT やMRIや、顕微鏡でみる病理診断、あるいは胃カメラや大腸のカメラの画像、心電図や心臓エコーの診断も出来始めた。ディープマインド社は眼球のスキャン画像100万枚を解析して失明経過を明らかにし、ロンドンでは頭頸部のがんCT、MRIの画像から、効果的放射線治療の研究を行なっている。
さらに機械が耳を持ち音声入力が可能となった。
そして2016年Microsoft社が会話における音声認識で人間と同じ役割を果たすことに成功した。医療や介護の現場で時間がかかり面倒なことは、活動の記録を規則にしたがって正確に書き残す作業で、多くの時間がこの作業に費やされている。電子カルテの方法でかなり改善したもののいまだ手書きの書類作成は必要で、これがすべて音声による正確な記載ができれば本来の医療にもっと集中できる。
ロボットの進化で手となり足となる機能も進歩した。アメリカの国防高等研究計画局が膨大な予算をつぎ込んで1999年ロボットダヴィンチが完成、世界中で多くの手術に使われている。
さらには人間の判断、頭脳も機械がかわりにでき始めた。現在IBM社のワトソンを使って病気の診断をし、さらに日本の保険会社がこのワトソンを使って、過去の保険金の支払い例を評価し学習して専門的知識を身につけた。これは健康診断のデーターから将来の病気の可能性を評価する方向に進化する。
技術は進歩する。この30年間、機械化(コンピュウター化)で病院などの医療システム、教育、治療が大きく変わる時代に入った。一方、日本の医療文化は変わらないことも多かった。
今後このITを使った技術を日本の医療文化にどのように取り入れて、医療のシステムを変えていくのかが問われている。一方、少子化と高齢化が急速で、そのための財源が問題となっている。高齢者の国日本、働き手の激減する日本社会で、財政問題から日本の医療文化も今後根本的な変更が迫られるかもしれません。