
20年以上前,中東、インド、東南アジアとりわけネパールやバングラディシュ、パキスタンなど医療設備の不十分な国で、在留邦人など外国の人びとは病気になったら,安全で清潔で医療レベルの高いシンガポールかバンコクを目ざし治療に行っていました。
また、世界各国とりわけ中東から富裕層を中心に、ドイツやアメリカの高度医療を受けに海を渡っていました。日本人も多くの移植希望患者がアメリカに渡航していました。
最近では、その流れが変化し,欧米並みの先進的で高度な医療サービスが自国よりはるかに安くうけられるアジア地域に、医療目的の観光旅行者が増えてきました。かつての先進医療を先進国で受ける目的から,逆に先進国から安価で良質な医療を観光をかねてアジアの都市で受けるのが現在いわれているメディカル ツーリズムです。
その背景にはアメリカでは,コスト削減を目的にマネジドケアがこのメディカルトラベルを推奨し、9.11以降にアメリカの入国が困難になった中東の富裕な人びとの医療の受け皿になってからです。
バンコクでは2004年には私立病院で治療を受けた外国人は100万人を超え、タイ最大のバムルンラート病院は2006年、40万人の国外患者を引き受け、53%が国外からの患者がしめています。
これらの病院では主にアメリカでトレーニングし医療技術を見に付けた医師が治療にあたり,アメリカの外科系専門医資格を持つ医師は200人以上にのぼります。今年、タイ全国で国外の患者数は200万人以上になり、アラブ人の富裕層が最大の顧客で、以前より性転換手術を目的とした日本人の間ではタイの医療は有名でしたが、現在はそれ以外の医療が主で年間25万人以上の人が治療を受けています。
シンガポールは2003年にSingapore Medicine構想を建て,政府が海外からの外国人患者受け入れを拡大すべく医療拠点つくりをすすめ2012年には100万人の受け入れ計画を建てています。
7年前,作家の石川好氏がインド医療の水準が高い事や海外からの患者の多いことを文章にしていました。日本の国内では、インドの医療が日本や欧米並みなどとは想像さえされない時代で、あまり多くの反響はありませんでした。その後経済の急速な発展に伴いインドでも国外患者を多く診る政策を打ち出し2006年には年間約15万人の外国の患者を診ています。
さらに,韓国は美容整形と整形外科が有名で,昨年は4万人以上の国外患者を受け入れています。
日本では、癌研有明病院でガン患者の治療を、冠動脈疾患を小倉記念病院で、また亀田メディカルセンターがJCIを取得し、海外の患者治療をしています。その他に検診ツアーをしている病院が全国で数カ所ありますが、今後この医療観光をどうするか議論中で今後の動向は?です。