感情は周囲の情報と身体の中の情報を脳がまとめてつくり出したもので、その感情をドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が調節しています。
人々は、日常生活の多くの行動は、この感情によって決め、行動している。この中には、心配な気分と不安感がある。これは人類が生き延びるために、備わったもので、心配や不安は外界の危険に体が対応するため、防衛のシステムで、心配と不安はは同じ役割を担い、不安の感情は、危険が襲うかもしれないと予測する時に起こる嫌な気分で、現実にそれが起こらなければ、消え去る。 一方、希望がかなった時の満足感や、心地よい気持ち、幸福感も起こる。しかし満腹感もすぐに消えて、次の食べ物を求めて活動を始めるのと同じようにこの感情も長くは続かず、消えていき、次の外界の危機に対応する。
人の中には、他人の感情を読む能力が非常に発達した人がいる。その人は感じやすく、感情に影響されやすく、極端になるとHSP(ハイリー センシティブ パーソン)と呼ばれる。共感力が強く、音や光、匂いなどのささいな刺激にも敏感で、疲れやすい、そして周りのわずかな変化や雰囲気を敏感に察知し、物事を深く考え、情報を正確に処理する能力に長けていて、人口の15から20%がこの気質を持っている。
現在日本で、メンタルの不調で、仕事のできない人が増えている。気分障害の外来患者数は2023年には156万6000人になった。多くはデプレッション(うつ病)で、診断基準として、抑うつ気分、興味、喜びの消失、体重や食欲の変化、睡眠障害、精神運動の変化、疲労感や気力の低下、罪悪感や自分を価値のないものと考える、そして死にたい気になる。思考力や集中力の低下。このうち5つ以上が2週間以上毎日つづき、日常、日常生活に支障をきたしている状態。これをみたすのが診断の基準で、時々こんな気分が2、3日起きて、決めたり考えがまとまらないことは誰にもあることで、長期にわたり気分の落ち込みがあって5項目以上当てはまるのがデプレッション(うつ病)です。毎年受診患者が増えているのは、診断基準が確定し、治療薬も安全で有効になり、また受診のハードルが低くなったためか、社会の変化やスマホによるSNSの影響などが推定されています。
このバイタリティーとデプレッシブな心の状態を調節するのが、神経伝達物質で、セロトニンやノルアドレナリンそしてドーパミンなどがあります。セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれ、安らかな情景や宗教画を見ている時の感じ、心の緊張はこのホルモンが出ることによって、和らぎ、ゆったりした気分になります。バイタリティーが湧いて行動力のもとになるのがノルアドレナリンで、行動に移す力を与え、恐怖や危険にあった時、このホルモンが分泌され活動に移ります。そして集中力は増し、記憶力も増し、行動力も増して危機に対応し、活発な行動を促します。さらに、ドーパミンは報酬のホルモンと呼ばれ、ワクワクとした気分や生きていくための快楽を生み出すもので、生物の社会活動すべてをコントロールしています。
一生懸命頑張っている人は、ドーパミンやノルアドレナリンが過剰になり、やがて過労に陥ってしまう。さらに時代のスピードが早まり刺激が多くなると、心の休まる空間が狭くなり、長期のストレスに日々さらされることになる。そしてスマホ時代となり、興味をひき、新しい刺激をあたえ続ける画面の情報は、脳内のドーパミンを活性化させる。そしてやがてSNSの魅力は魔力に取って代わられる。
人類が繁栄し、生き伸びてきたのは、協力する能力があるからです。しかし、一部の人には、この能力が欠けていることがわかってきました。サイコパスという言葉は20世紀の始めの数十年間に流行し、広く知られるようになりました。反社会的行動はとるものの、それ以外の点では社会で、正常に機能できる人を表現するのに使われ、1941年アメリカの精神科医ハーヴェイ クレックレーが「正気の仮面」で定義し、診断のチェックリストを作った。サイコパス的な性格は、一見したところ魅力的で、社会に順応していて、知的だが、その内面はきわめて感情が乏しい。さらに衝動をコントロールする能力が著しくかけている。その結果、共感力が乏しいだけでなく、失敗から学ぶことはなく、失敗を恐れたり、罰を受けたりする可能性があっても不安に思わない。
サイコパス的な性格は人口の1%を占め、日本では100万人はいると推定されています。サイコパス的な人は、表面的には魅力的で人を惹きつける、しかし共感性はなく、虚言癖があり、責任感とか後悔することはない。
マイルドなサイコパスの人は、政治家となり時には権力を握ることがあり、その組織や国は悲劇に見舞われる。1970年代アフリカのウガンダで、大統領となったアミンは、典型的サイコパスの性格で、政敵を投獄し、死亡させ、国を破滅に導いた。歴史的には、ヘンリー8世やサダム フセインもサイコパスと考えられている。気分障害の改善には運動や、深呼吸の方法や、自然に溶け込む時間つくるなど過剰のコントロールは、さまざまに工夫されている。一方サイコパスは未だ明確な基準もない。
今後、脳神経科学の進歩や認知症の研究そして、AIの進歩による知能や感情のさらなる解明が進み、新たな対応策が生まれるかもしれません。