今年の夏は3ヶ月にわたる猛暑を記録し、9月になっても終わらない夏が続いている。
6月hot7月hotter8月hottestでブーゲンビリアやハイビスカスなど熱帯原産植物が生命を謳歌していた。さらには、台風が日本列島を直撃し、高潮と猛烈な風で甚大な被害を及ぼした。今年9月、台風21号の高潮のため、ダッカ空港ではなく、関西空港が水没する情景は、台風の猛威を見せつけた。
過去数十億年で見れば、気候は大きく変動していて、地球全体が熱帯で、北極にヤシが生えたていた時代もあり、逆に地球全体が完全に凍っていたこともあった。その時の海面は100メートル以上低く、また温暖期には今より180メートル高かった。
そして、人類誕生以来文明も気候の変動や、人間の活動により、消滅した例も見られる。太平洋上のイースター島は森林の伐採によって文化をつくっていた、しかし気温と降水量が森林の再生に不向きな環境の島であり、また土壌が豊かでなく、山の低い孤立した島であったため、森林の消滅と共にポリネシアの社会を崩壊させた。
マヤ文明もまた水不足から滅亡した。レバノンは緑豊かな国土でレバノン杉を国旗に用いている。その大地は乾燥し、大量の伐採のため、今では杉は絶滅寸前となる。またアラル海は灌漑用水の使いすぎで消滅し、アフリカのチャド湖も消滅寸前となった。
過去の歴史は、気候と場所、そして人間の営みで文明が滅亡したことを物語っている。
現在地球上でおこっていることは、周期的気候の変化の一部分なのか、人間の活動の結果なのか。この状況に対して「成長の限界」が1972年にローマクラブから報告された。世界は近い将来に資源の枯渇と汚染排出による環境の変化から成長不可能な状況に直面する。全地球のシステムをコンピューターでモデル化して、100年にわたって推定し、物理的な成長の制約は21世紀の世界政治の重要な課題となるとした。
地球は有限であり、人口増加と人々の活動により、石油枯渇 、オゾン層破壊、地球温暖化 、有害物質の処理不能、 種の絶滅、 森林の消失の危機が起こり、そのままの経済成長は不可能で、限界に達する。地球の資源には限りがあり、持続可能な経済成長の必要性を訴え反響をよんだ。その20年後に新しい情報を加えて「限界を超えて」ですでに、人類は地球の能力の限界を超えたのではないかと述べた。さらに10年後の2005年「成長の限界人類の選択」を出した。
その後、資源については、石油の枯渇はなかったものの、人口の増加は70億を超え、二酸化炭素は自然の吸収力の2倍を超え、地球温暖化など予想が妥当だったものが多い。
まず第一に地球の温暖化による海面の上昇。
1900年から2000年の100年間で地球上の平均気温は0.6度上昇した。この上昇は21世紀になり加速している。パリ協定で1.5度Cを目標にしたのは、根拠のあることで、全体としてわずかな変化でも、地球上の局所では多大な変化をもたらした。
地球温暖化のため、北極の氷は溶けてしだいに海面を上昇させ、世界中で氷河は消失しつつある。現在では海水面の上昇からモルディブやツバル、キリバスは水没の危険があり、バングラデシュやオランダは水没の危険は高く、他の国では低高度の地域はやはり、水没、高波浸水の危険は高くなる。もし、地球の平均気温が2度上昇すれば、海面は36センチ上昇すると推定される。
さらに、氷河は世界の大河に水を供給している、もしそれが減少すれば深刻な水不足をきたす。ヒマラヤ氷河はアジアの大河のすべての源で、黄河、長江、メコン川、サルウイン川、ガンジス川、インダス川、プラウトプトラ川の水源になっている。そして、北半球の中高緯度の地帯では雨量は増加し、他の地域では降水量は減少して、砂漠化が進行している。
第二にハリケーンや台風の強大化は地球温暖化の影響を確実に受け、人の管理不可能なシステムである。海水温の上昇はハリケーンや台風やサイクロンを巨大化させ、 今後どれほど強大化し、どれほどの被害を及ぼすかは不明である。
ハリケーン カトリーナなど21世紀の台風やハリケーンは世界中で、甚大な被害を及ぼすようになってきた。猛烈な風の脅威とともに沿岸地域の高潮の被害浸水も増加し、アメリカでは1970年に比較して10倍以上の経済的な損害を出している。2005年のハリケーンはメキシコ湾の海上石油生産施設を壊滅させ、橋桁に衝突した施設で、橋の通行は停止した。 今後は沿岸地域のハリケーンや台風のさらなる強大化にともなう海面上昇対策が必要となってくる。
今後の対策として、アメリカのハリケーン地帯の海抜10メートル以下の地域では、住宅、道路、病院を安全な場所に移動させた方が、沿岸部でハリケーン被害を受け続けるより、はるかに経済的には有効であるという報告もされいる。しかし合理的計画はあっても、実現には多くの困難がある。
第三は海洋の酸性化が進み海中の珊瑚を死滅させつつある。そして牡蠣、プランクトン、骨格類に被害を与える。
そして第4には生態系の崩壊。気候の変動により陸上の植生を変化させる。それとともに野生生物と消失絶滅する種が急速に増えてくる。さらには、寒い地方の蚊などの感染症媒介生物の北上をもたらしている。
1972年当時の心配は杞憂で 技術の進歩で解決できるのか、まだ結論は出ていない。しかし地球温暖化は世界中で共通の認識になった。京都議定書に続き2015年パリ協定で、二酸化炭素の排出は吸収を上まらないようにする。そして世界共通の長期目標として
産業革命前からの平均気温の上昇を2度より十分下方に保持、1.5度Cに抑える努力を追求することが批准された。
今後問題となるのは、環境を悪化させない成長ができるようにすること。省エネルギー生活に切り替え、二酸化炭素を出さないエネルギー源に変更すること。各国、アメリカ、ヨーロッパ、中国は2、30年後に再生可能エネルギーを全エネルギーの60から80%に増やす目標を立てている。2030年には40から50%を目標にしている。日本は2030年に22−24%を目標にしている。
台風の強大化や高潮の被害を防ぐ対策も必要で、伊勢湾台風、第二室戸台風、今年の台風21号以上の台風は毎年のように発生し、熱波もさらにひどくなると予想される。
人口減少社会で、10年先あるいはさらなる将来を想定した、今後起こりうる自然災害に対応する都市の再設計が必要になる。
人間は現状維持を好み将来のことよりも現在を重視する傾向がある。イギリス植民地相ジョセフチェンバレンは19世紀の終わりころ「私に言わせれば時代の流れは全ての権力がより大きな帝国に集中する方向に向かっております。そして、力の小さい王国すなわち進歩の遅れた国は、2流の属国の地位に滑り落ちることでしょう。進歩しないものは取り残される。」と言った世界観は21世紀の今も主張する国がある。
さらに、もし経済成長が停止たら、地球の気温上昇は止められるものの、世界の多くの人々は貧困と病の中に残される。
一般に人々は目の前にある経済成長、短期的な消費 雇用などの経済問題、あるいは安全保障の問題を優先的に追求するもので 、議定書が実行され温暖化が本当に防止できるか、今後、長期的危機は手遅れになるまで放置されてしまうのかはわかりません。