現在、世界中で労働人口減少、高齢化が進む。 第2次世界大戦が終わった戦後、平和の時代に生まれた子供たち成長し、1970年から2010年までは日本を含め先進国は団塊の世代、ベビーブーマが労働人口に加わり、女性が労働に参加し、さらにグローバル市場に中国が加わり、ベルリンの壁崩壊後は東欧の人材も加わって、世界の労働人口は2倍以上になった。それと同時に出生率は低下し、人々の平均寿命が急速に伸びた。その結果、経済の成長は先進国で減速した。高齢化の先頭の日本は、若者が有り余る近隣諸国に労働力を求め、企業は中国や東南アジアの国々に生産拠点を移していった。
今起こっているのは、少子化による世界中の若い世代の労働人口の減少と、高令者の圧倒的な増加である。2015年から2030年にかけて60歳以上の世界人口は9億人から14億人に増え、超高令者である80歳以上の人口は2050年には4億人を超える。そして今まで経済成長を牽引してきた国ぐにの高令化率がますます高まっている。人口構成によって世界は3つのグループに分けられる。第一のグループは世界人口の27%に当たる際立って高令化するグループ。そこには日本、韓国、中国、ヨーロッパ各国が含まれる。将来高令化するもののそれほど極端でないグループが世界人口の23%、米国、カナダ、ベトナム、インドネシア、トルコなど。残りの50%の国々インド、パキスタン、フィリピン、南米やサハラ以南のアフリカ諸国などは未だ若年人口が圧倒的に多い。
高令化のトップを走る日本は2020年の高令者の人口は3600万人で、2040年問題が語られる頃には、高令化人口はさらに100万増加する。一方、中国は2020年1億7000万人の高令者で、2040年には3億人を超える。それを一人っ子政策の結果一人の孫が4人の祖父母を支える時代になる。アメリカやイギリスでも後期高令者は増加するものの若者の人口も増加する。
高令化する社会では、医療や介護のコストが劇的に増加する。現在65歳以上の高令者の54%が2つ以上の病気を抱えている。そして85歳以上になればそれがさらに増えて68.7%以上となる。現在ガンや心臓病が最も多い疾患であるものの、医療は進歩して次第に治癒可能となり、それに変わって、認知症やパーキンソン病などの病気が増えてきている。その結果今後、医療介護分野の労働力の必要な割合はさらに増加する。医療介護は製造業のように生産拠点を海外移転したり、生産性を向上させることはなかなか難しい。
人口の減少を補う切り札として期待されているのが、人型ロボットなどのロボスチティック産業である。イーロンマスクは自動運転が出来る車は、タイヤを使ったロボットで、それが作れるなら、足をもつロボットも作れるはずとして、人型ロボットの開発を進めた。それがオプティマスで、身長は170センチで、傷つけられるのではないかと感じないような柔らかい姿の人型ロボットで、2021年8月に公開された。この開発はテスラ者の自動運転開発チームによって作られた。
この人型ロボットはまだ見ぬ10億ドル市場と呼ばれている。10年後には5兆円規模の市場になり、1000万台以上の人型ロボットが活躍し、70%以上の職業に影響が出ると試算されている。 この人型ロボットは、今でも物流作業に使われ、自動車製造では、BMWがアメリカノースカロライナの製造拠点で、フィギュア社製のヒューマノイドロボットを使って自動車の製造作業が行われている。今後は、宇宙開発や、危険な環境での作業や調査活動に使われ、そして家庭にも人型ロボットが登場し家事や日常作業をするようになる。医療では手術支援や、リハビリ支援に現在も少しずつ使われ、進化しつつある。そしてAIを搭載した、人型ロボットが感情の読み取りや人のケアに対応するようになり、フィジカルAIによるロボットとAIの融合が今後の医療界を、大転換させる可能性がある。
AIによる自律機能を持ったテスラの人型ロボットオプティマスは300万円以下で2年以内には発売される予定で、それらは製造工場、一般家庭、あるいは介護の現場で利用される。そして自動運転をするロボタクシーは車を所有する人が誰でも利用できるようになり、タクシーの運転手不足は解決する。さらに、スペースXなど宇宙開発用のロケットとその乗組員としてのロボットは月や火星の探索に欠かせないものとなる。
高令化しつつある先進国は、その50%から60%は高令者の単身世帯となり、社会的にその人たちを支える必要がますます増加する。今後、世界中の高令単身世代の介護者として家庭ロボットは普及する。平均寿命が伸びるとともに増える認知症などの介護が今後世界中で課題になってくる、それを補うのは、介護を担う自律型のロボットである。若者人口の減少による、人手不足を補うのは、工場で働いたり、物を配送する人型ロボットである。高令化し人手が不足する近未来は人型ロボットの活躍が不可欠になる。そして、近未来はスタウオーズのC-3POのような人型ロボットと共生する社会になる。