80年代、日本のバブルと呼ばれた時代、人々は豊かな都会の生活を求め、自然から離れた人工的な世界、ブランド化したより高級な物にあこがれた。テレビや雑誌でもこの世界を報道し、日本中に広まった過剰な豊かさ、金ぴか時代でした。
人々が特異な世界観に惹かれるのは、現実社会に対する不満であることが多く、物質的欠乏状況では、心は当然なんらかの救いを求めたためと考えられます。
日本が豊かになり、こうした現実的不満が解消され、物質が充足しても心の欠落感、不安や満たされ無い気持ち、空虚感は解消されません。この物を持つこと以外の何かを達成したい気持ちを持ったり、欠落感を抱いた心の持ち主が普通の人とは異なる道を選びオウムに入信しました。
最初わずか15人でオウム神仙の会をはじめた麻原は、1987年にオウム真理教と名乗り、 この年には、ハルマゲドンを唱え、オウムに入らないと生き残れないといって信者を誘い、その後、原始仏教を取り入れ、ヨーガの修行や神秘体験によって現実を超越する世界に達する方法で信者を獲得し、資金を集めていきました。2年後に宗教法人となり、仏教の修行の基礎はヨーガにありとして、修行し、極限の状態を体験し,このヨーガの階梯を一歩一歩上る。この秘技瞑想を通じて、クンダリー ヨーガを成就し、さらにマハー ムドラーを成就する方法を使って信者を増やしてきました。そして、最大1 万2000人人以上の信者を集めたことになります。
しかし、 これらの、ヨーガ道場での布教では飽き足らず政治で権力を得るために選挙に出馬し落選。この政治権力を握る方法がだめなら次は武力で政権を攻撃するとして、様々の兵器をつくり、買い集めテロ集団に変貌してくる。
大脳には理性や言葉を司る新皮質と感情や潜在意識や深層意識に関与する旧皮質がある。密教はこの2つの意識をうまく扱い、修行を通じて抑圧されたエネルギーを解放する技術を身につけられるとした。この密教の方法を使い、仏教用語を用い、迷いや悩みを直ちに解決したり、ヨーガの修行を通じて悟りに至ることができるとして、信じやすい心に入り込んでいった。
マインドコントロールを薬物を用いて行い、宗教のおとぎ話化、デズニーランド化が行なわれ,ポアという仏教用語を使い、現実観の希薄なまま殺人を次々と実行して行った。最初はヨーガの指導者先生と呼ばれていたものが、大師と呼ばれる宗教団体の教祖になり、最後には尊師と呼ばれる絶対的グルへと変貌していった。
このグルの心の中は何であったのか。
大江健三郎は小説「宙返り」の中で、教団の一部の急進派が原子力発電所を占拠し、爆発させる計画を立て、実行に移しかけた。それに対して、教祖はこの計画を中止させるために全国にテレビ中継で、これまでの教義は、冗談であり悪ふざけだった。ただちに、原発占拠を作戦を中止してほしいという声明を出した。
連合赤軍事件から25年後の1995年再びセクト集団による大量殺人、政権支配を目ざしたテロ事件が起きたことになります。1991年から、フランスではすでに反カルトの法律が制定されています。