2012/07/16

オーム真理教とカルト


 80年代、日本のバブルと呼ばれた時代、人々は豊かな都会の生活を求め、自然から離れた人工的な世界、ブランド化したより高級な物にあこがれた。テレビや雑誌でもこの世界を報道し、日本中に広まった過剰な豊かさ、金ぴか時代でした。

 人々が特異な世界観に惹かれるのは、現実社会に対する不満であることが多く、物質的欠乏状況では、心は当然なんらかの救いを求めたためと考えられます。
 日本が豊かになり、こうした現実的不満が解消され、物質が充足しても心の欠落感、不安や満たされ無い気持ち、空虚感は解消されません。この物を持つこと以外の何かを達成したい気持ちを持ったり、欠落感を抱いた心の持ち主が普通の人とは異なる道を選びオウムに入信しました。
 

 最初わずか15人でオウム神仙の会をはじめた麻原は、1987年にオウム真理教と名乗り、 この年には、ハルマゲドンを唱え、オウムに入らないと生き残れないといって信者を誘い、その後、原始仏教を取り入れ、ヨーガの修行や神秘体験によって現実を超越する世界に達する方法で信者を獲得し、資金を集めていきました。2年後に宗教法人となり、仏教の修行の基礎はヨーガにありとして、修行し、極限の状態を体験し,このヨーガの階梯を一歩一歩上る。この秘技瞑想を通じて、クンダリー ヨーガを成就し、さらにマハー ムドラーを成就する方法を使って信者を増やしてきました。そして、最大1 万2000人人以上の信者を集めたことになります。

 しかし、 これらの、ヨーガ道場での布教では飽き足らず政治で権力を得るために選挙に出馬し落選。この政治権力を握る方法がだめなら次は武力で政権を攻撃するとして、様々の兵器をつくり、買い集めテロ集団に変貌してくる。
 人の心は移ろいやすく確信や信念も永遠には続かない。何が本物で何が偽物かを見極めるのはむつかしい。平安時代、空海は既心成仏を唱え、最澄は道心が大切と言い,鎌倉時代の明恵は菩薩心を語り、親鸞は深心を阿弥陀如来を信じる心とした。これらの先達による宗教としての仏教と、カルト集団オウム真理教の根本的な違いはどこにあるのか。

 大脳には理性や言葉を司る新皮質と感情や潜在意識や深層意識に関与する旧皮質がある。密教はこの2つの意識をうまく扱い、修行を通じて抑圧されたエネルギーを解放する技術を身につけられるとした。この密教の方法を使い、仏教用語を用い、迷いや悩みを直ちに解決したり、ヨーガの修行を通じて悟りに至ることができるとして、信じやすい心に入り込んでいった。

 マインドコントロールを薬物を用いて行い、宗教のおとぎ話化、デズニーランド化が行なわれ,ポアという仏教用語を使い、現実観の希薄なまま殺人を次々と実行して行った。最初はヨーガの指導者先生と呼ばれていたものが、大師と呼ばれる宗教団体の教祖になり、最後には尊師と呼ばれる絶対的グルへと変貌していった。

 このグルの心の中は何であったのか。 
 大江健三郎は小説「宙返り」の中で、教団の一部の急進派が原子力発電所を占拠し、爆発させる計画を立て、実行に移しかけた。それに対して、教祖はこの計画を中止させるために全国にテレビ中継で、これまでの教義は、冗談であり悪ふざけだった。ただちに、原発占拠を作戦を中止してほしいという声明を出した。

 連合赤軍事件から25年後の1995年再びセクト集団による大量殺人、政権支配を目ざしたテロ事件が起きたことになります。1991年から、フランスではすでに反カルトの法律が制定されています。


2012/07/02

2012/07/01


梅雨

 日本はアジアモンスーン地帯に属し、湿潤な気候で,特に夏は高温で南方と同じ暑さの3ヶ月が続く。冬もまた,日本海を渡る北風は大雪を列島にもたらし、やがて、春の雪解け水と豊かな地下の水脈をつくる。
 日本の海は太平洋からの、海流が太平洋側と日本海側に流れこみ、北からの海流と沖合でぶつかり合い、豊かな漁場をつくるとともにこの海の湿度が日本の山脈に出会うと、雨や雪を降らせ、乾燥地帯では、考えられない植物の成長をもたらし山々は豊かな森林を形成する。現在でも日本の国土の67パーセントは森林に覆われ、世界の国の中で最も森林面積の多い国です。

  日本列島ができ、紀元前3世紀に稲作が始まるまで、日本のほぼ全域は森に覆われていました。この森のうち1/3が開拓され水田となり、稲作が行なわれました。しかし、牧畜は土地の急峻なことや、湿潤な気候の為にわずかにとどまり森林の伐採は免れました。

 暑熱と湿気が必要な様々な諸草木に成長を促し、相互に密接に絡まり合い生い繁り、成熟し、日本の南部では亜熱帯の植生を生み出している。単位面積あたりでは,膨大な植物を中心とした生物のエネルギーを生み出している。
 梅雨と台風を特徴とする日本の気候が豊かな自然をつくり、恵まれた列島「豊葦原の瑞穂の国」として縄文時代からよばれてきました。

 この森の文明、縄文の文化が日本の文化の源にあり、湿潤なモンスーンの気候に適応したものです。稲作がはじめられても森林は多くは伐採されることなく残され、「人も動植物もみな同じ」や八百万の神の思想が生まれました。6世紀の半ば中国を経由して伝来した仏教も,その後、神道と共存し日本の地に定着し平安時代、鎌倉時代になると多くの宗派がうまれさらに発展し「草木国土悉皆成仏」の思想が定着してきました。


  仏教はインドで釈迦の悟りから生まれたもので,この世に生きる限り生老病死から逃れることはできない。諸行無常と悟り,涅槃寂静の境地に達することを説いた。インドの東北部に生まれたこの仏教は6世紀の中国南北朝時代に広がり、やがて日本にも伝来し聖徳太子の時代に仏教国家となりました。インド本国はヒンズー教が主流になり、中国もまた宋の時代から儒教が盛んになり近代ではマルクス主義になり、アジア大陸の東と南の地域、すなわち、日本、カンボジア、タイ、ミャンマー、スリランカが仏教国として現在まで残っています。


 一方、農耕牧畜や砂漠地帯の宗教であるキリスト教は源流のユダヤ教とイスラム教ともに唯一の神をあがめる一神教であり、この思想のもとで都市文明を生み出しました。森の神であるフンババを殺害したギルガメッシュの伝説がこれを物語っています。砂漠の民であるかれらは攻撃性を持ち、自然と戦い、制服する環境から生まれた唯一の神を信じ巨大都市文明を創り出し世界にひろめていきました。

 東南アジアからインドを通り、中東に向かう時,湿度過剰なバングラディッシュから乾燥地帯のパキスタン、アフガニスタンを通りさらに西に進むとイラク,イランと砂漠地帯に気候は変化する。さらに西には地中海がある。地中海の北にはヨーロッパ諸国になる。この地域は、夏の乾燥と、冬の湿潤からなる地中海性の気候で,夏の乾燥で雑草が繁茂することはなく、牧草をつくり、緑の大地は放置されても草原になる。この自然,気候と風土がそれぞれ異なった文化や宗教を生み出し発展させてきたと考えられています。



 戦後はアメリカの高度に発達した資本主義を基にした自由な精神や物質主義が時代精神となり、忍耐とか精進といった戦前からの日本の精神はわすれさられていきました。
 しかし、日本列島をおおうこの湿潤は、自然の猛威となり、大雨、洪水、暴風、旱魃をもたらしています。さらには地球表面のプレートの端に位置する地震国であることは大地震や津波の襲来のたびに日本列島のおかれている事実を思い出させます。われわれは、今後もこの列島に住み、この環境に適した生活をを選ばねばならない運命にあります。