AIの進歩は急速で、chatGPTでを使うと、患者の症状から、今でも研修医以上の診断ができる。このchatGPTは、昨年11月から使われ、検索の機能を備えて、言葉を理解してそれに対して、文章で答えを返してくれる。たとえば、コロナにかかって、1ヶ月経って、全身の関節が痛いが、食欲はあって、食べることは困らないし、熱や喉の痛みといった風邪の症状はない。何が疑われますかと打ち込むと、直ちに、普通の医師並みの返事が返ってくる。
このchatGPTは大規模言語モデルといって、膨大なデータをコンピューターが学習して、人間の使う言葉を、単語を、使う確率の多いものを着目し特定することによって、文章として組み立てる。覚えて、正しく組み合わせることによって、言葉、文章を作り出す仕組みで、当然、時には事実ではない妄想(Hallucination)を作ることもある。しかし今までの対話型ロボットとの違いは、質問に対して、言葉の成り立ちと同様に、比喩を積み重ねることによって、事実を理解しやすくする機能が優れているために、単純な質問には凡庸な答えしかしないのに、多くの比喩や形容によって限定を加えることによって、返事はより正確により深くなるところにある。
今までAIの進歩で、画像解析は急速に進化し、肺などのレントゲン、CT、MRIなどの診断補助には使えるまでなった。そして聴く能力は、アマゾンのアレクサなどで、実用化し年々進歩している。筋肉などの運動は人型ロボットが走ったり、宙がえりしたり、二本足で走り回ることまで可能となった。今度の会話型のAIは話し言葉や、書いた文章を投げかけると、その返答がかなりの正確性を持って返ってくる。人間の言葉を理解するAIで、これを話しができる人型ロボットが備えれば、ロボットが診断するロボット医師誕生となる。
脳の進化が次第に解明されてきた。脳には新皮質と旧皮質に分かれ、何十億年の進化で古い脳はより原始的な行動を生み出し子孫を作り生存してきた。新皮質のない動物、爬虫類も子供を育て周囲の状況を見てエサを確保できる。 はちゅう類でも哺乳類でも人間の知能のうち、走ったり、飛んだり、木に登ったり、泳いだりする技能運動する能力、あるいはものを見てそれを捉えたに逃げたりする能力、姿を見て敵と味方を鑑別し、ものを判別する認識する能力がある。新皮質は筋肉を直接コントロールしてはいないし、意識すればかえって暴投したり、脚がもつれたりする。人間でも古い脳は感情を生み出し、生存のための行動を行う。
一方人類は、200万年前から脳の外側にある新皮質が急速に大きくなり、3倍にもなった。そのことによって、言葉は誕生した。 アフリカの大地を離れ、ユーラシア大陸に人類が脚を踏み入れ、暗く、寒い環境に適応し、ジェスチャーだけではなく、呼びかけのの言葉が、意味を持つ言葉へと進化していった人類は生存でき、生き残った。 大きくなった新しい脳の性能を使って、あるものを見てその画像をつなぎ合わせ、例えば星を見て、それをつなげて星座とし、それを比喩によって物語化し、言葉とし、文字として記録するようになった。そして、データを集めそのモデルにあてはめる。言語とはモデルとデーターをつなぐ比喩とも言える。そうして人々は世界を宇宙を理解する。結局理解したとは自分にとって、わかりやすい比喩にたどり着くことでもある。人間が言葉を使えることになって、集団で生活し、そして音楽、数学、科学技術を生み出し文化を作り始めた。
chatGPTの機能も、この言葉の機能をコンピューター化して使い、再現できるようになったもので、2017年に出されたAttention is all you need の論文によって、人の言語に近ずいた。以前の画像の解析は多くの画像を記憶させ、顔のパターンを鑑別する。一方 言葉は、比喩を使った、その場のものから次第に、抽象的な世界を比喩を使って、作り上げた。言葉とは休みなく変化しつ続ける比喩の海で、言葉の語彙は限られているため、次々と無限の比喩を使って、新しい環境、状況に対応する。それに近い言葉のつながりを機械で選択し、新たな文を創造することにもなる。
言葉が生まれる前、個人の世界モデルは本人の直接行った場所や出会った事柄に限られていた。言葉から行ったことのない土地を想像し、抽象的な概念を生み出し、世界を理解し始めた。科学的真理もまた、ニュートンの万有引力の法則でも、原子核の構造もまたモデルを組み立てそれとデータを比喩的に適合させることによって理解するようになって、天動説から地動説になり、ニュートン力学も打ち立てられた。
カプグラ症候群といって目の前の母親にあっても、本物ではないと感じる、病気がある。これは感情を伴った体験、情動を伴った記憶と目の前の母親の姿とが、一致して感じ取れない脳の障害による症状で、脳外傷の後などで認められる。 この感情と現実の姿の不一致が起こらないように人間は進化してきた。この古い脳は生命の基本的な行動、感情や、生き延びて子孫を残す、あるいは、生き延びるための活動をする。そして新しい脳、新皮質の複雑なモデルを使った行動はこの古い脳の感情と分かちがたく結びついている。 人間の歴史は、理性ではなく感情、情念によって作られた記録にあふれている。それは人間の行動の原動力は古い脳に支配され、新しい脳で築いた文化を破壊することもあることを示している。
この人間のような感情を持つ機械の設計は非常に難しい。古い脳は扁桃体や視床下部などの多くの器官から成り立ち、生存を保証している。古い脳の多様な機能を機械で再現することは現在ほとんどできていない。コンピューターの機械的知能は生物学的機能のうち新皮質の知的機能を代替できるようにようやくなってきた。
人間は知的好奇心がある。人間は知りたがる、宇宙はどう始まってどう終わるのか、地球外生物入るのか、神は存在するのか。これは新皮質の役割で機械もさらに進歩し自ら学習し知識を獲得するようになれば意識を獲得したことになる。
人の心は記憶された物事を、過去に辿って追憶とし、脳の中のモデルを使って未来を予想する。心の中にわき起こる過去の感情を伴った記憶、追憶。喜びや悲しみ、歓喜や恐怖、幸福や絶望の感情は将来機械で再現できるのか。崇高なものを崇拝する宗教心や、行動の目的を決める集団への忠誠とか愛国心やそれらの組み合わさった信念の体系が機械にもに生まれるのかは今のところわかっていない。
今、起こっていることは、AIをつかった自然な言葉を使えるコンピューターが医療の診断にも大きな影響をおよぼしつつあり、ロボット医師の出現はもうすぐそこまで来ていることです。
