ペリー艦隊は日本に来航し、お土産として電信機を持参。この電信機でモールス信号を使って情報を送った。徳川時代このバテレンの妖術に驚いた日本では、明治時代に必死に全国に電線を敷いて有線電話を日本中に広げた、そして電信設備を充実した。そして、世界の列強に追いつき、一等国をめざした。
当時グレート ゲームと呼ばれる中央アジアの覇権の争いが起こっていた。ユーラシア大陸から南下するロシアに対するインドを支配するイギリスの情報による戦いで、イギリスはアフガニスタンでロシアと衝突した。極東では清国の弱体化に乗じて、満州での覇権を握り、日英同盟を結んだ日本が1904年ロシアと戦う日露戦争が起こった。
日本は、ウラジオストックを目指したロシアのバルチック艦隊がどこを通るかを必死に探索。そのとき信濃丸がこれを発見し、「敵艦隊ミユ」と直ちに連合艦隊の旗艦三笠に打電した。「敵艦見ユトノ警報ニ接シ 連合艦隊ハ直チニ出動 コレヲ撃滅セントス、本日天気晴朗ナレドモ波高シ」の暗号文は海底ケーブルと無線を使った。日本は、情報戦を駆使し、ロシアバルチック艦隊を撃破した。
第二次大戦当時は、暗号化された外交電報が用いられていた。日米の開戦の時、日本の外務省の本省から、ワシントンの日本大使館打たれた暗号電報は、真珠湾攻撃30分前に米国国務省に通告する予定が、攻撃開始1時間後になった。その後も、日本の海軍はアメリカの情報局に暗号が解明され、連合艦隊司令長官の山本五十六の乗った偵察機がブーゲンビリア島の上空で撃墜された。情報通信は無線と有線が時代とともに進歩して国の命運を決める技術になった。
戦後は1950年代電話にも使える、海底ケーブルが実用化され、1963年11月23日アメリカから初めてのテレビ中継が実現し、その最初の放送がジョン F ケネディー暗殺のニュースだった。その衛星通信が登場し国際情報の伝達の主役になった。1980年代の末になると光海底ケーブルが実用化された。 この光ケーブルが改良され、大量の情報が、時間のズレなく送れるようになった。そして通信衛星に代わって情報伝達の主役になった。
たったひとつのコンピューターネットワークの出現によって長い歴史を持つ複数の産業がわずか1世代のうちに永遠に姿を消したこれほどの規模の大変革がこれほどのスピードで産業に起きた例は滅多にない。
1988年アメリカで商業用のインターネットが始まると、瞬く間に世界中に広がり、新たな時代が始まった。2010年ネットワーク端末が世界人口125億を超えて普及し、今年には500億台を超える。これは人と人の間だけでなく、機械と機械の間の通信が増大する。さらにこの頃から、新興国でのインターネットと携帯電話の普及は急速で、先進諸国が電信電話網を作り上げた100年を飛び越えて、2030年には人類のほぼ全部がこれを手に入れることになる。
このデジタル化の進歩は始め、楽観的により豊かで、透明性の高い社会が訪れると信じられていた。現実に、音楽も、アニメや映画そして漫画もiPhoneなどの端末で、無限のお気に入りの作品を楽しむことができるようになった。
しかし、世界にこの情報革命が行き渡ると、権威主義国家により急速なデジタル化が進み、エンターテイメントは自由に楽しめても、インターネットによる言論の自由は高まり、透明度の高い社会ができることはなかった。インターネットと自由とは関係ないことがやがて明らかになってきた。逆に、中国などでは人々は国家に情報を提供し、国家が自由を管理することによって、利便性と安全性が高まり、治安は高まり、経済は成長する、幸福な監視社会を実現しつつある。
今回の新型コロナ感染に対する対応も、感染者の発見隔離、医療情報の一元化、あるいは給付金の確実で迅速な配布などで、個人の自由重視の体制では不可能な、より効率的な社会を作り出してより効果的に感染を制御している。
通信は情報を伝達するとともに、その傍受による情報入手が国家的規模で行われている。最初から伝達と傍受は伴って進歩した。第二次世界大戦後直ぐに通信情報網が、アメリカ主導でつくられた。それにイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わり秘密情報を共有するファイブ アイズが出来上がる。通信情報網を整備したものが情報を管理し、通信を傍受できるからで、これに日本も加わるべきか問題になっている。。一方、中国も一帯一路構想で、衛星による情報の共有、光ファイバーを共同で作り、国際通信のレベルを向上させ、情報のシルクロード、情報ハイウエーを作る構想を進めユーラシアの国々を自らの情報管理化に取り込もうとしている。さらにこの光海底ケーブルは太平洋の諸島国家にも広げられ、アメリカなどと対立している。
インターネットは便利であるが、もうひとつの弱点がある。サイバー攻撃を受け、通信機能の麻痺や、情報が取られるが、その攻撃した相手がなかなか特定できないことにある。今年12月にアメリカの政府機関や企業を狙った大規模サイバー攻撃が、ロシアによって行われたことが発表された。明らかにされないサイバー空間における戦いは、情報技術の進歩とともにあらゆるルートで展開され、民主主義国の選挙にも大きな影響を与えるようになっている。
この30年世界はデジタル化の奔流の中にいて、誰もそこから逃れることができない時代になった。この技術は生活を豊かにし、情報に誰もが接することができ社会が透明性を高める一方、
個人の秘密、生活が漏れ出し、管理される危険と裏腹で、先進国と新興国の差をなくし、人々の生活、社会を変え、国家のあり方を変え、経済だけでなく政治の構造までもかえるようなグレート ゲームになってきた。
