1962年、トーマス クーンは 科学革命について、「古い理論を置き換えるために新しい理論が選ばれたのは、それが正しいからではなく、世界観が変わったからだ。」と述べた。バラバラな問題に類似性を見とる力を持った科学者が、それを説明する科学発見を発表する。その後さまざまな実験によってそれを証明する。そしてニュートン力学のような理論が生まれる。その法則に合わない事実が、出てくる時、新しい別のパラダイムが生まれる。そしてさまざまな研究がなされ、相対性理論などの新しい理論が生まれる。しかし現実の世界はただひとつしかなく、過去にあった世界と同じ世界が今もある。変わったのはものの見方だけである。古い理論を置き換えるために新しい理論が選ばれたのは、それが正しいからではなく、世界観が変わったからであると唱えた。その後、パラダイムシフトは論争のまととなり、流行語にもなった。クーンは科学の世界においても、科学の進歩は究極の真理に向かって進んでいき、自然に関する完全で客観的で真実である理論に到達することに、疑問を投げかけた。
科学 宗教 政治 経済学理論はそれぞれ共通の似たような要素を持っている。どの文化を持った国家もそれぞれの宗教、それぞれの政治、それぞれの宗教的倫理体系、それぞれの経済、そしてそれぞれの科学的世界観を持っている。それによって多くの人々を集めて共同体として成り立っている。それは、人間の能力、人間の脳の仕組み、人間の本性の由来するからで、人間の脳は地球上の環境に適応し、進化して、遺伝子的に形成されたからである。人の住む周りの世界、環境を、まず気分と瞬間的直感で捉える。その後に、ゆっくりと合理的判断を前頭葉が行う。感情に結びついた第一の回路は目先のことに素早く反応して決断を下す。好きか嫌いか、敵か味方か、その後にゆっくりと前頭葉が働いて、過去の知識や記憶、パラダイムなどさまざまなことを材料にして、思いを巡らせ、思考し、今後を予想したり、事実が偽物かを吟味して行動に移す。
人間の歴史はこの合理的精神のみではなく、感情に動かされた結果つくられることもある。 人間はどれだけ技術が進歩しても、恐れや嫌い 魅惑や好きといった原状感覚から逃れることはできません。 人々は生存のために発達してきた感情、感覚、印象による即断と過去の記憶や知識による合理的思考の両方をうまく使って生きてきました。そして環境が変わると既存の物の見方を変えて、すなわちパラダイムチェンジをすることで対応してきました。
第二次世界大戦の後 世界ではアメリカとソ連が対立し、その影響で日本も1960年の安保紛争や1970年まで続く政治の時代になりました。その後も、宗教と同じようにそれぞれが多くのセクトにわかれ、対立や紛争が続きました。その後、経済が豊かになると、多くの人は、心の中で、改革の気持ちを持ちつつ、革新政党に投票し、生活は豊かさを求めて、より多くの物を買い、会社や組織での出世を目指すようになり、経済の時代に変わっていきます。世界は、レーガン大統領やサッチャー首相の主導する新自由主義と呼ばれる新しい自由主義が、東側の社会主義、平等社会に勝利し、世界を制覇しました。
ソ連は崩壊し、宗教は復活したものの、まざまなカルト集団は日本ではオーム真理教 アメリカでも新興カルト集団が生まれ、消滅していきました。イスラム教はビンラディンのテロやイラン革命などの宗教的過激主義は事件を起こしたものの、世界を動かすことはなく、その時代、世界を動かしたのは、宗教でも政治的イデオロギーでも民族主義でもない経済合理性が何よりも重要とする新自由主義と呼ばれる経済理論でした。
”Its the economy ,stubid”を掲げてブッシュ政権に勝ったクリントン政権は、新自由主義経済を世界に押し広げていった。FRB議長のグリンスパーン、 ルービン財務長官、経済学者サマーズの経済三銃士が世界経済を支配する構図が出来上がっていった。その政策のもとで、世界は動き出し、世界はフラット化し、大いなる安定の30年間が続いた。その結果、アメリカでは貧富の差が極端に広がり、移民は急速に増え、LBGTの権利は急速に拡大し、キリスト教の文化は衰え、中産階級は没落し、プアーホワイトが激増した。そのため、今の政策に不満もつ人々に支持されて、トランプ政権が登場した。そして経済至上主義の新自由主義のシステムを終焉させようとしてさまざまな政策を打ち出した。自由な移民など人の移動を制限し、国際協調主義をやめ、国連のWHOからの脱退し、パリ協定から離脱し、自由貿易体制を再検討し、関税をかけるなどさまざまな政策を推進した。
それはヨーロッパの民主主義国にも波及した。2025年、今年NATOのルッテ事務総長はアメリカのイラン爆撃に対して「イランに対する断固たる行動に感謝します。あれだけ思い切ったことは誰にもできません。」そしてNATO軍事費増大に対して「あなたはこの数十年でどの米大統領も成し遂げなかったことを達成するでしょう。欧州は大金を払うことになる。そうすべきだし、それはあなたの勝利です。」と述べた。
そして、やがて日本でもそのパラダイムシフトの波がやってくるのかもしれません。