コンドラチェフの波は、ロシアの経済学者 ニコライ・コンドラチェフ(Nikolai Kondratiev) が1920年代に提称した。資本主義経済には、だいたい40~60年程度の長い周期で、景気や経済成長の大きな波があるという経済学上の仮説で、18世紀の終わり蒸気機関を使った繊維工場が稼働し、鉄道が普及する。第2波は19世紀の後半から終わりにかけて鉄鋼生産と鉄道網による交通革命が起こりる。
1880年エジソンが長時間使える電球を発明し、やがて発電、送電、配電、電灯を一体として使える社会を作り出す。1919年には工場の50%が電力を使うようになりコンドラチェフの波の第3波に相当する。
第4波では1908年フォードが自動車の大量生産システムを作り上げ20世紀の石油の時代をつくる。その後第5波は200年のインターネットの波、そして現在のAIの時代を迎える。
この新たな産業革命について「テクノロジーは、あらゆる製造業の生産性と成長を促し、使われなくなっている工場用地や未開発地の生産も始まるでしょう。これらのテクノロジーは、製造業の変革と充実感と満足感の得られる持続可能なキャリア形成につながるような様々な仕事を豊富に生み出します。」2022年ダボス会議でコンサルティング会社マッキンゼーが薔薇色の未来を語った。
また、AIの専門家は「今後1 、2年でAIはあらゆる専門職の仕事をより効率的にしてくれるだろう。特に命に関わる仕事では効果が大きい。個別化医療や警察活動はもとより戦争にしてもそうだ。攻撃はインフラの無力が中心となり、敵の戦闘員や民間人を殺す事は少なくなるだろう。もちろん多少のマイナス面はあるだろう。ある種の機械的な職業では失業が増えると思われる。」
このテクノロジーの進歩によって社会は変わりつつある。人工知能の進化によって、情報のアクセスを簡単にしただけでなく、知識を誰でも使えるようにし、産業面では、ホワイトカラーの仕事を効率化し、ソフトウェアを簡単に開発できるようにし、研究開発の大きな助けになった。
しかしこのデジタル革命の負の側面も明らかになってきた。このテクノロジーの進歩によって社会は二層化しつつある。アメリカではテクノロジーの支配者と被支配者に分かれる。そして世界の国の間でも、支配する国と被支配の国に分かれる。いわゆるテクノ領主とテクノ小作に二分化してきた。中世には土地を所有する領主と、土地を耕す農民がいた。領主は土地を支配し、農民はその土地を利用することで生活した。
現代において、土地に代わるものがデータやプラットフォーム、AI、巨大な計算資源になっている。デジタル社会では、巨大なテクノロジー企業が膨大なデータとプラットフォームを所有し、そこに多くの人々が依存している。私たちは無料で検索し、無料でSNSを利用し、無料でさまざまなサービスを使っている。しかし、その代わりに私たちはデータを提供し、巨大なデジタル空間の支配に従属している。中世には土地を所有する領主と、土地を耕す農民がいた。領主は土地を支配し、農民はその土地を利用することで生活した。現代において、土地に代わるものがデータやプラットフォーム、AI、巨大な計算資源になった。デジタル社会では、巨大なテクノロジー企業が膨大なデータとプラットフォームを所有し、そこに多くの人々が依存している。
デジタルツールは情報と反対意見を抑圧するための強力な武器として、独裁体制の手の中に収められた。さらに、それらの国では、情報の分野や、サイバー空間に認知戦を他国に対して広げて行った。他国の人々のものの考え方、社会や世界についての認識自体に働きかけ、フェイクニュースで世論を誘導し、社会を分断させる情報操作を行なうようになった。
ソーシャルメディアは誤情報の温床となり、独裁的政府のみならさまざまな形の独裁国でも、民主国でも上からの管理が強化され、それがビジネスモデルとして成功を収めている。虚偽とプロパガンダを浴びせられると、民主主義の国でも、非民主主義の国でも、「人々はどんなニュースも信じなくなる。いつも嘘ばかり化されていれば、嘘を信じるようになるのではなく、むしろ誰もがもはや何も信じなくなる。」1974年にハンナ アーレント語ったような社会になってきた。
さらにウクライナ戦争を通して明らかになったことは、戦車や戦闘機、空爆やミサイルの攻防に代わって、AI搭載のドローンが、戦場以外のエネルギーや産業や社会的インフラを攻撃し、AIが攻撃の対象をきめ軍事作戦を遂行するのに、大きな役割を果たすようになった。ウクライナ戦争は、戦争そのものの姿を変えつつある。
テック領主たちはAI、半導体、量子技術、宇宙、サイバー技術などをめぐって激しい競争を繰り広げている。互いに同盟国をつくり。強固な同盟関係を結び、覇権を目指して、巨大なテクノロジー企業と結びつき、技術を進化させ、相手を凌駕するための国力増強を押し進めている。
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